いつもお世話になっています。
はせくらです。
皆さま、お元気ですか?
あっという間に12月になってしまいましたね。
今年一年も、本当に早く過ぎ去っていきそうな様子です。
今年は「令和元年」ということでもあり、
いろいろな慶事が続き、嬉しい年でもありましたね。
当会(通称 あけの会)では、今年、本格的に、
新しい謡である「結び舞」が完成し、はやくも
来年には出雲のお社(出雲大社)様での御奉納が決定し、
お作法やお稽古に精進する日々となりました。
一方では大切な仲間を天に見送るなど、
胸が痛むこともございました。
たくさんの想いをいだきつつ、
今年の幕を閉じようとしている、そんな気持ちでおります。
私の方はまだ、フィレンツェにいるのですが、
日本を離れているからこそ見えてくる、
日本の素晴らしさに改めて感じ入っています。
とりわけ、すぐ違いが目に付くのは、
水の美味しさです。こちらは硬水なので、
水がはっきりいって、美味しくないです。
その水でシャワーを浴びると、皮膚がカサカサになり、
ボディクリームを塗らないと、悲惨な感じになります。
また、硬水でお蕎麦をゆでると、ボソボソした、
ただの「麺」が出来上がります。
御汁もビミョーな感じになります。
けれども、パンやピザ、パスタになると、
日本よりも美味しいと感じることが多いです。
やはり硬水は西洋風の料理とマッチするようですね。
また、すぐにわかる違いのもう一つは、
安全性ということです。
こちらでは常に緊張しています。
後ろに変な人があるいていないか、
スリやひったくりが狙っていないか、
荷物に気を配っているか、などなど、
家に戻ってくるまで、気が抜けない状況です。
なので日本に戻ると、
本当にホッとします(笑)。
ぼやーっとして歩けるって、なんと心地よいことか。
ところで今、私は、
アートだけではなく、
イタリア語も学んでいるのですが、
その中で気づいたことがあります。
日本人は、言語に対する感性や、
外国語の習得に、実はかなり
向いている民族ではないかと。
というのは、日本語というのは、
圧倒的に難しい言語なのです。
ご存じの通り、かな・漢字・カタカナなどがありますし、
同じ音を持つ異なる意味を持つ漢字やひらがなが多数あります。
文法も、ニュアンスによって変わるので結構複雑です。
そんな難しい言語をこともなげに話せている私たち。
…って、
すごい!んです。本当に。
外国人が学ぶ言語として、
日本語はかなり難易度の高い言語にはいるようですし、
実際、とても困難を極めているように見えます。
一方、私たちが外国語を習得する時は、
たとえばいつまでたっても英語ができない、
といってしまったりするのですが、
それは「できない」というより、
「完璧にはできない」ということであって、
誰もが基本はもう「できている」というほうが、
正確な気がします。
複雑な言語である日本語を自在に駆使する私たちは、
言葉の並びは違うにせよ、基本的にアルファベッドの
26文字の並び替えで出来ている外国語に関しては、
外国の方が日本語を学ぶ手間よりは、
ずっと楽なのではないかと思うようになりました。
実際、イタリアにいる今、
知っている単語と動詞をならべてみる。
ということをやっているのですが、
実のところ、それだけでも結構通じるな、ということを体験しています。
文法は活用は、相手が直してくれますので(笑)。
私たち日本人は、もっと、
この世界でたぐいまれなる美しき、かつ細やかなニュアンスを持つ
日本語の使い手であることに、誇りをもっていい気がしました。
…と、あれこれ雑感でした。
尚、年明け2月末には、万葉の里をめぐり、
お稽古とお食事会をするという研修会がございます。
非会員様の参加枠もありますので、
よければどうぞご参加ください。
美しい日本語がたくさんちりばめられた日の本の古い言葉に触れて、
心を若草色に染めて、令和二年の素晴らしき門出と新春をことほぎましょう。
» 万葉のふるさとをはせくら代表と巡る明日香バスツアー&古都奈良で学ぶ雅楽舞初稽古と新春の寿ぎの集い
では、最後にいつものように、
今月の雅楽をお届けいたします。
今月の雅楽は、盤渉調の越天楽です。
以前にも越天楽はご紹介しましたが、
この越天楽という楽曲は、
「平調 越天楽」と、
「黄鐘調 越天楽」、
そして「盤渉調 越天楽」の三種類があり、
この三つを合わせて、
「越天楽三調」と呼ぶのだそうです。
その中で、盤渉調は、
冬にふさわしい調で、
洋楽でいえばロ調になります。
他の調子の越天楽
(平調越天楽:https://www.youtube.com/watch?v=BZ0lcZKFQ5M&t=334s)
(黄鐘調越天楽:https://www.youtube.com/watch?v=tPt5tPD9bzo&t=493s)
を聴き比べていただくとわかるのですが、
音の響きからくる質感、空気感がやはり違いますね。
先人たちは、同じメロディでも、転調をすることで、響きのニュアンスを変え、
季節感をだしていたって、すごいことだなぁと思います。
なんと「粋」なのでしょう!
それでは今月もお元気でお過ごしくださいね。
どうぞよいお年を!