皆様、こんにちは。
お元気でいらっしゃいますでしょうか?
暦の上では処暑の次候である「天地始粛」(てんちはじめてさむし)で、
暑さもひと段落して、ようやく少しおさまってくる頃となりました。
皆様の地域ではいかがでしょうか?
世情を見つめておりますと、何やら騒がしく、ともすれば、
現象に心を奪われてしまいがちになりますが、
そんな時こそ、内をしっかりみつめて、
そこから外を観察してみる、ということを心がけたいと思っています。
そのプロセスの中で、最近、いろいろと気づくことがありました。
それは、「日本人とは何か?」ということです。
日本人らしさ、日本人っぽい、日本人としての矜持…。
そんなことをあらためて感じながら、
歴史や文化を紐解きながら、
そのなかにある性質や特徴を探していたのでした。
そこで、ハッと心を揺らされる言葉に出逢いました。
それは、ご縁のある皆様方と6年に渡り続けている和の学びの会
https://www.akenoutagagaku.com/
でも、毎回のように出てくるキーワードについてです。
それは、お稽古ということば。
河内国一宮枚岡神社の中東宮司が、いつもおっしゃいますところの、
稽古と練習の違い。
練習→技を磨いていくこと。
稽古→技を通して心(魂)を磨いていくこと。
の意味を、
暮らしの中で応用していくことの大切さを
あらためて思っている次第です。
たとえば、
お茶碗にごはんをよそうこと。
よそうとは、漢字で書くと、装うです。
よそう、よそおぐ、よそいき…
それは、相手にとって、そしてごはんそのものにとっても喜びとなれるよう、
丁寧に、心を込めて、装ってさしあげる、
これも「稽古」の一つであると感じました。
そう考えると、
日常が「稽古」にあふれていますね。
戸を丁寧にしめること。
座った後の椅子をもとの場所へ戻すこと。
靴を揃えること。
ガチャガチャ音を立てないこと。
…も~、「稽古」し甲斐あるなぁ…(苦笑)。
そしてもう一つ、稽古という意味の語源についても、
わかったことがあります。
というのは、稽古の稽は考えるということ。
そして古は、そのままいにしえ、昔となり、つまり
稽古とは、いにしえを考えるということになるんですね。
典拠をさかのぼると、古事記の中にあることがわかりました。
その中には、私たちが知っているであろう言葉―
稽古照今というものにいきあたりました。
それは、いにしえを考えることで今を照らす、という意味。
古事記序文の中にはこのように書かれています。
「古(いにしえ)を稽(かんが)えて以(もつ)て
風猷(ふうゆう)をすでに廃(すた)れるに縄(ただ)し、
今を照らして以て典教(てんきょう)を絶えんと浴するに
補(おぎな)わずということなし」
この意味は、
「昔のことをよく学んでいくことで、
すでに廃れてしまった道徳(道の徳、ですね)を見直し、
今の基準とすべく失われかかっている尊い文献を補うために、
この古事記を書き残しておきます」となります。
先人たちが培ってきた理想の形へと修練すべく、
古(いにしへ)を稽(かんがえ)て、
今を照らしていく(照今)こと。
稽古を通して、今を照らしていくこと。
よりよい今。細やかな今。
さらなる進化を遂げる今。
そのためにある稽古という実践知であることを、
あらためて感じた次第です。
といいつつ、現実は、
舞楽のお稽古一つをとってみても、
まだまだお恥ずかしい限りですが…、
また、いろいろな日常の所作も、
ざっくりがさつで、お恥ずかしい限りです。
これもまた、
「伸びしろ」があると考え(笑)、
気落ちせずに進んでいきたいと思います。
ところで、冒頭の、
「日本人とは何か? その特性は?」
についての考察ですが、
おそらく最終的には、
「日本語を話す人々」が日本人で、
その「日本語」を使っていることで
培ってきた感性的性質が、
日本人らしさになるのかなと考えています。
というわけで2014年に発表させていただきました
日本語再発見ツール「おとひめカード」の世界を、
さらに深堀していった世界観の情報を、
今、考察しつつまとめているところです。
少しずつ、これから書いていこうと思いますが、
今回は、さわりのみで…。
日本語というのは、
実に不思議な言語であり、
五十音そのものが、
宇宙を動かしている、
情報を持った力動(エネルギー)であること。
聖書にも最初に言葉があった、
と言われているように。
「言葉」という音波に乗せて、
エネルギーの流れを創っていき、
現象化のもととしていたのだ、
ということに改めて想いを馳せているところです。
まさしくそれは、現代の量子力学や
超弦理論、素領域論とも通じてくる話で、
とても面白く興味深く考えています。
これから徐々におつたえしていければと思っていますので、
これからもよろしくお願いいたします。
さて、今月の雅楽をご紹介いたしますね。
今月は、鳳凰をかんがみながら、飛ぶ鳥を模して音とし、
舞を飛ぶ鳥の姿とみたてつくったといわれる
萬歳楽です。
ゆったりとしたメロディーとときおり脳天にひびく竜笛の高音が、
なんとも心地よくて美しい舞楽です。
どうぞお楽しみください
それでは今月も
どうぞ素晴らしい時をお過ごしくださいませ。