サンプルイメージ

はせくらみゆきのマンスリーことのは通信

あけの会 マンスリーことのは通信2022年6月

皆様、こんにちは。お元気ですか。
過ごしやすい季節を迎えています。しばらくすると、梅雨時期に入るので、
今時期の爽やかな風と光をたくさん受けて、
何はなくとも嬉しい…そんな毎日が送れたらいいですね。

今月のあけのうた雅楽振興会では、久々の研修会として、
感染対策を考慮しながら、野外研修に出かけます。
場所は、宇治平等院や源氏物語の故郷をたどるのですが、
私自身まだ、訪れたことがない場所でもありますので、
実際に観るとどんな感覚になるのかなぁと思い、楽しみにしています。

また、源氏物語についてですが、枕草子同様、
日本が世界に誇る、女流文学の最高傑作のひとつであります。
何がすごいのかというと、ドキドキハラハラの物語性はさることながら、
今から1000年も前の昔に、女性が文字を書き、物語を綴っていたという事実が、
世界からすればありえない! ことだったのですね。

というのは、女性の権利や地位というのは、
西洋においては「奴隷以下」のような扱いで…というか、
人間とおもわれていなかった! という衝撃的な歴史があります。
ですので、そうした存在に文字を教えるどころか、
「もの」と同じ扱いで二束三文で売り渡されていた時代、というのも長くあったのです。
今から思えば、信じられないことですが…。

それに対して日本は古くから、男女は力を出し合い、支え合い、
共に協力し合う仲間として「対等」だと考えられていたのです。
その考え方のもとにあるのが、古事記や日本書紀に見られる、
伊弉諾・伊弉冉の国生み神話にさかのぼります。

二人が和合しながら共に力を合わせて国を創っていきます。
ですので、どちらがかけても片手落ち。ただ、力でいくと、
構造上、男性の方がつよいので、力の弱い女性は、
「手弱女ぶり」といって、女性らしい特質をいかしながら、
自らの役割を果たして、共に歩むという姿を貫いていったのです。

一方、男性は「ますらをぶり」といいます。
強くたくましく、女性を守る存在として働くことが出来る。
その力を生かして、食べ物をとって来たり、国護りをするということをしていました。
なんといっても、男性だけでは子孫を残すことも出来ないのです。
ましてや乳房も子宮もありません。
そうした機能を持つ女性を尊び、敬いながら、危険なところは自らが率先してやる、
そして女性は、暮らしを調えながら、赤ちゃんにおっぱいをあげ、
煮炊きをしたり、織物をしたりして、家族を守り、栄えさせていただのですね。

というわけでこの国は、神話の時代から、男女平等でした。
…というか、女性の方が強い存在として、また、神とも近い存在として、
大切にされていたのです。ですのでもともとが協力し合う関係として始まっているので、
「男女平等」とか「同権」といった言葉さえなかったのですね。
そうした言葉が生まれる背景には、長らく人間以下の扱いを受けていた、
西洋文明での、女性の悲しい歴史があってこその世界だったのです。

「和」の国の人々が得意とする考え方は、
同じ方向を向きながら、共に何かを創り出すということです。
一方、西洋文明が得意とするところは、
二極に分けて、その違いを明確することで、正確な何かを創り出すことです。
どちらがよいとか悪いという話ではありません。
そこに捉われてしまうこと自体が、二極に分ける考え方ともいえます。
今、必要なのは、それぞれの人が思う、語る、背景に思いを馳せ、
それを知り、理解しながら、新しい何かを生み出していく知恵ではないでしょうか。

ところで、日本がほこる伝統的玩具として、「折り紙」があります。
この折り紙は、両端、両辺を合わせることによって、
新しい形をつくって、何か意味のある「見立て」の世界を創っていく遊びです。
端と端を合わせていく行為は、さながら、二極を一極に統合する作業ともいえます。
私たち、ひのもとの人が得意とするところは、互いに違う性質を持つ両極を、
互いの良さを生かし合いながらも結び付け、結び合い、
そして新しい価値を創造していく(新しいかたちができていく)
ことになるのではないでしょうか。

むすびの国、やわらぎの国。
一つひとつの折り目を丹念にそろえながら、
日々を丁寧に紡いでいけたらいいですね。

それでは今月の雅楽です。
…といっても、今月は雅楽ではなく、
6月の大祓の時期でもございますので、
現代語意訳がついている「大祓」の奏上をお届けしたいと思います。
私自身毎朝、朝の掃除や運動、禊をした後に、
大祓祝詞を奏上してから、一日が始まるのですが、
唱えるたびに清々しく、禊がれた気持ちになります。
面白いのは、奏上前に行う柏手の音と、奏上後に行う柏手の音が、
明らかに違うことです。身の穢れが少し祓われているのかもしれません。
そんな大祓の意味を知った上でまた奏上すると、
よりイメージも膨らんでくると思いますので、
今月はこちらをご紹介させていただきますね。

それではどうぞお元気で。
健やかな時をお過ごしくださいませ。

はせくらみゆき 拝

謡バージョン「あけのうた」冒頭 コチラをクリック!
雅楽バージョン「あけのうた」冒頭 コチラをクリック!
和心を学ぶあけの会メルマガ
入会のご案内〜詳しくはこちら
ことのは通信
CD「ことほぎ」の購入はこちら
七福神祝詞
▲ あけのうたを通じて心の岩戸を開いてくれる神社 枚岡神社
▲ はせくらみゆき オフィシャルHP
はせくらみゆきオフィシャルブログ▲ はせくらみゆきオフィシャルブログ