皆様、こんにちは。お元気でいらっしゃいますか?
暑くなってまいりましたね。
皆様どうぞ、ご体調に気を付けて、
お元気でお過ごしくださいませ。
さて、今回、特別編として、今、執筆している、新刊原稿の一部を、
お届けしたく思います。
少し長くなりますがお付き合いいただけると嬉しいです。
「日本語のブームが起きつつある?」
国際交流基金による、2018年度「海外日本語教育機関調査」によると、世界での日本語学習者は約385万人いるそうです。
ただ、この調査は日本語教育を実際に受けている数なので、独自に学んでいる人などを加えるとさらに増えるでしょうし、その後さらに年月を経た現在は、どのくらいになっているのでしょうね。
さらに、特に学ぶとまではいかなくても、訪日客の増大であったり、世界に広がる日本のアニメやマンガブームを思うと、日本や日本文化、そして日本語に興味を持つ人が、どんどん広がっていることを感じます。
私は日本語についてのカード(おとひめカードといいます)を、海外(ドイツ)の出版社より出版したことがあるのですが、その際、多くの反響があり、驚いた経験があります。
コロナの感染症が流行る前までは、毎年、ドイツの大学で「日本語」についての講演とワークショップを行っていたのですが、その際の熱気がすごいのです。
公開講座でもあったため、大学生を中心に、中学生から大人まで、多くの方が参加してくださっていました。とりわけ、若者たちは熱心で、アニメやマンガに出てくる言葉を中心に、日本語への関心が強さを示していました。
特に彼らが知りたがっていたのは、日本語のオノマトペの中にあるニュアンスや表現です。音が面白いと、口々に真似をします。
他にも意外だったのは、古事記のストーリーをしっている子たちも多数いたことです。
なにやら現地で流行っている日本のゲームの攻略法として、古事記の内容を知っていた方が有利なのだとか。彼らの口からごく普通に、高天原や黄泉の国、伊邪那美が…という言葉が出た時は、正直、目を丸くしてしまいました。
そして、大人たちから聞かれる内容は、日本語の他に、禅や日本酒、浮世絵、カラオケ、中には「シントー(神道)」のことを知りたいという人まで…。
もちろん全体の中の一部ではあるでしょうが、個人的な肌感覚としては、日本ブームが徐々に起こってきているのではないかと感じています。
ところで、あなたは「タタミゼ」という言葉を御存じですか?
タタミゼ(tatamiser 発音はタタミーゼ)はフランス語で、「畳の上の暮らし」という意味です。ニュアンスとしては、日本かぶれという感じでしょうか。
少し揶揄した表現でもあるのですが、最初にこの言葉が言われ出すようになったのは、19世紀末から20世紀初頭にかけて流行した、浮世絵で始まった日本ブーム―ジャポニズムの頃だったといわれています。それが、近年になって再び、日本へと留学した外国人学生を中心に、「おまえ、タタミゼ(タタミ化する≒日本化する)したの?」といったニュアンスで、使われるようになったのだとか。
どのようになるのかというと、人との接し方が柔らかくなったり、性格が穏和になったり、協調的になるなどの変化が起こるそうです。このことを「タタミゼ効果」と呼び、徐々に国際的にも使われるようになってきました。その鍵を握っているのが、なんと「日本語」だったのです。
日本語を学ぶと、いつのまにか「タタミゼ」されて、「穏やかになる」、「優しくなる」、「平和的になる」、「我を張らなくなる」、「非戦闘的になる」、「協調的になる」、「思いやりを持つようになる」などの変化が生まれるとのこと。
本当にそうなのかなと思い、日本語を流ちょうに話せる友人のフランス人に聴いたら「やはりそうだね。言語によって性格が変わるんだ。特に日本語で語ると、穏やかないい人になってしまうよ」と。
「えーっ、そうだったんだ。そんな日本語を話せるフランス人って、すごいね」というと、彼はすかさず答えました。「ありがとうございます。おかげさまで」と。
なんだか、きていますよー。令和のジャポニズムブームが起こる前兆なのでしょうか?
これからの流れを楽しみにしつつ、日本語話者として、愉しんで進んでまいりましょう。
…とこんな感じで綴っています。
では、麗しの日本語話者である皆様へ、
麗しの日本の雅な楽の音をお届けします。
今月の雅楽はいつもと少し趣向を変えて、
雅楽師・東儀秀樹氏の篳篥と笙に、賈鵬芳氏の二胡が加わる、
美しい演奏をお届けします。
まだ夏はこれからなのですが演奏曲は「夏の終わり」です(笑)。
とても美しい曲ですのでどうぞお楽しみください。
それでは今月も素晴らしき月となりますように。
皆様の御健康と御多幸をお祈りしております。