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はせくらみゆきのマンスリーことのは通信

あけの会 マンスリーことのは通信2025年2月

皆様、こんにちは。はせくらみゆきです。
お元気でいらっしゃいますか?
寒い日が続いておりますが、どうぞご自愛くださいね。

今日は、あけの会で数か月に一度開催しております、
教養部会のオンラインセミナーのことを少しお話出来たらと思います。
実は1月に開催されたオンラインセミナーの中で、歴史考察をしたのですが、
その中で、近世日本を辿りながら、「日本になぜアヘンが蔓延しなかったのか」
というテーマについてお話させていただきました。
隣国はアヘン戦争まで起こり、清国滅亡の危機に陥ってしまったのですから、
その隣に位置する日本も、時間の問題でもあったのです。

けれども、日本には蔓延することなく歴史の針は進むことが出来ました。
そこには、鎖国と言えどもその中で収集した巧みな外交戦略や、
非常に不利であったにもかかわらず、「阿片輸入禁止条項」を盛り込んだ、
米国の不平等条約(日米修好通商条約)をあえて受け入れるという英断をしたことなど、
様々な要因が重なりながら、なんとか危機を乗り越えることが出来たのです

私自身、そのあたりの史実をいろいろと調べていく中で、
胸を打たれたことがあります。それは、
さまざまな艱難を受け入れつつも、阿片という
脳の中枢神経が侵されることで、霊性との繋がりが薄くなってしまう
薬物を絶対入れまいと、時の幕閣たちが身を切る想いで決断したこと。
そしてその奥には、やはり、天(神)の采配があったのではないかという、
想いがしてならなかった、ということです。

このような天の意思といいますか、神々が願っている想いとは何かと思うとき、
その起源としては、古事記の冒頭や、天照大御神の神勅等にたどり着きます。
少し脱線はしますが、せっかくですので、その一例を古くからある祝詞—「大祓」にそって、
ひも解いてみることにしましょう。
(大祓詞の起源は古く、祝詞の内容がつづられた文献はないものの、
天照大神が天岩戸籠りからお出ましになった時の祝詞は、
「大祓詞」だったのではないかともいわれています)

大祓詞の中には
「我が皇孫命は豊葦原水穂国を安国と平らけく知ろしめせと言依さしまつりき」
という奏上文があります。

この中にある「安国」(やすくに)というのは、平和な国であると同時に、
人民の心も安らかで平和であるようにという二重の意味が込められています。
これが天の願いだった、ということになるのですね。

安らかなる心、安らかなる国…そんな穏やかで優しく豊かな国と、
そこに住まう素晴らしい民たちであるよう、心を手向けていきたいものだと、
あらためて思ったのでした。

最後に、天のお正月である立春を迎えたことほぎに、
4516首ある万葉集の最後の歌をご紹介したいと思います。

「令和」の言葉の典拠となった大伴旅人の子、大伴家持のうたです。

「新(あらた)しき 年の初めの 初春の
今日降る雪の いや重(し)け 吉事(よごと)
(新年を迎えた年の初めの初春の、今日降る雪の如く、
良いことがますます重なって起こりますように)

雪というのは天から降ってくるものです。
そんな天からの御蔭が降り注いできて、良きことが重なり起こる、
という祈り言葉として、万(・)(よろづ)の世を超えて伝えたい言の葉(・)を集(・)め
後の世の人たちに伝えていたのですね。
ぜひ、声に出して、音にして自分に聴かせてみてくださいませ。
きっと何か立ち昇ってくるものがあるように感じます。

では最後に今月の雅楽です。

今月の言の葉通信の中で「安」という言葉がでましたので、
昭和になって作られた優美な神楽—「浦安の舞」をご紹介したいと思います。

こちらのうたは、昭和天皇が詠まれた御製で、
「天地に神にぞ祈る 朝なぎの 海のごとくに 波立たぬ世を」
がよみこまれております。
さらに深読みすると、この謡である「浦安」とは、
海をさす「浦」であると同時に、津々浦々の浦、つまり、
場のことをさしているのですね。
そして、同じ音である「うら」とは、心のことも「うら」なのです。

ですので、場も心も皆、安らけくあるようにという、
先に書きました、天照大神の神勅にまで遡ることが出来る、というのが、
この「うらやす」の舞だったのですね。あぁ、深い。

というわけで少し長くなってしまいましたが、
天のお正月—立春を迎え、ますます素晴らしきとしになりますように。
「いやしけ よごと!」で参りましょう(笑)。

どうぞお元気でお過ごしくださいませ。

はせくらみゆき 拝

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